プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「銀月館の加藤秀徳さんですか!?
野球の雑誌で見たことあります!
初めまして、小野一輝です!」


あたしが紹介する必要もなかったかもしれない。
興奮したように秀に握手を求める一輝くんに、秀もさわやかな笑顔でそれに応じる。


「君が一輝くん?
俺のみどりがいつもお世話になっています」

「俺の......?」


今日も笑顔の中にもそこはかとないブラックさがにじみでている。初対面からいきなり意味深なことをいってくれる秀に、一輝くんもやっぱりそこが引っかかったみたい。


「俺の!幼なじみの!みどり、ね」


不審そうな一輝くんにあわててフォローを入れる。


「みどり先輩に、こがんすごか幼なじみがおったなんて、知らなかったです」


フォローを入れるとあっさり納得したみたいで、また笑顔に戻った一輝くんに、内心ほっとする。


「ただの幼なじみじゃなくて、俺とみどりは将来結婚を誓った仲だから。返してね」


ほっとしたのも束の間、笑顔で爆弾を落としてくれた秀に、一瞬であたしたち三人の空気が凍りついた。
< 167 / 623 >

この作品をシェア

pagetop