プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
固まったように秀を見たあと、あたしに視線を移した一輝くんに、顔の前で手をブンブンと振る。


「誓ってない誓ってない。
一輝くん、冗談だからね?本気にしないでよ?
秀はこういう感じの性格なの、昔から人をからかうことが好きだから」

「俺は本気だけど?前も言ったよね、みどりを嫁にするつもりだって」


フォロー空しく、涼しい顔で全部ぶち壊してくれる秀をキッとにらみつける。いったいなにがしたいの、こいつ。


「言われたと?」

「あー......だから......冗談で......。
そもそもこいつ彼女いるから!」

「最近別れたよ」


......もうやだ。
顔色も変えずに、あたしの努力をすべて無にしてくれる幼なじみ。


「そ、そう。でも、秀のことだから、またすぐ彼女作るでしょ?」

「みどりもじゃないの?
みどりが本気だって言うからどんな男かと思えば、結局今までの男と一緒だね。
甲子園行くって約束も果たせてないし、あんな賭けするまでもなかったね」

「あのねぇー!そういう意味であの賭けを断ったんじゃなくて......!」

「......賭けってなんのことですか?」


初対面からいきなり失礼な幼なじみに、言い返していたら、賭けと聞いたとたん、一輝くんが話に入ってくる。

やけに冷静な声の一輝くんが、逆におそろしい。


「ん?甲子園で一輝くんが俺に勝ったら、俺がひく。
俺が勝ったら、みどりはもらうって賭けだよ。
聞いてない?」
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