プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「すみませんでした!」


挨拶が終わり、みんながベンチに帰ってくるなり、一輝くんは帽子をとって、ベンチの中で深く頭を下げた。


「落ち着いていこうって俺が言ったのに、自分が焦りました。負けたのは、俺のせいです」


九十度に頭を下げて、大きな声でそんなことを言い出した一輝くんに一瞬ベンチがシーンとなったあと、一番に敦士が一輝くんの肩を叩いた。


「......しゃあねぇよ、別にお前のせいじゃねぇ。
俺が体張って、お前の球を捕れば良かっただけの話だ。
受け止められなくて悪かった」


俺も今日はいい当たりが出なくて貢献できなかったし、何もお前のせいで負けたんじゃねぇ頭上げろ、と敦士が言うと、他のみんなも口を揃えて一輝のせいじゃないと続けた。


「そうだよ......、一輝のせいじゃないよ!
そんなこと言うなら、俺なんか今日二回もエラーしたよ。
一輝は一回だけだろ」


みんなが口々に一輝くんのせいじゃないと言っているにも関わらず、一輝くんは一向に頭をあげようとしない。

あたしも含め、誰も一輝くんを責めたりしないけど、一輝くんが責任を感じる気持ちも分かる。分かりすぎるくらいに。

実際誰だって一輝くんと同じ立場になったら、同じことを考えると思う。

中盤のエラーと、最終回のエラーとでは重みが違うから。
しかも、それでサヨナラ負け。


「僕ももっと盗塁警戒するべきだった、ごめん。
二塁空いてたから、盗塁の可能性も十分あったのに、一塁牽制も入れずにいきなり投げたのは失敗だったね」


みのるの言葉に一輝くんはようやく頭をあげたと思ったら、再び深く頭を下げ直した。
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