プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「だから、好きの定義はなに?」


再びピタリと足を止めると、秀は今までよりももっと真剣な表情であたしを見つめる。


「俺は誰よりもみどりが好きだよ。

俺の心は昔から変わってない、みどりと結婚するって決めてた。後はみどり次第だよ」


その、"好き"は......。
や、もう、どんな"好き"でもいいか、別に。

結婚するのに必ずしも恋する必要もないし、あたしだってそもそも好きの定義さえ答えられていない。


車がときどき通るだけで後は静かな夜の住宅街、こんな場面では似つかわしくない話をされて、少しだけ考えこむ。


通過点にはなりたくなかった、か。

一輝くんがあたしの未来で他の男は全て通過点だとあのときは思ったけど、逆だったのかな。

一輝くんが通過点で、あたしの未来は......。


「考えようによっては、アメリカで秀のサポートに専念するのも悪くないかもね。
ほんとにメジャーリーガーになってくれるなら、もし離婚したとしても慰謝料がっぽりだし」


他の平凡男なら結婚なんて早すぎるけど、メジャーリーガーなら話は別。

やりたい仕事が特にあるわけでもないし、ダラダラ大学行って、どうでもいい会社に入るよりかは、先行投資で秀と結婚しといた方がある意味賢いかもしれない。


秀となら、毎日楽しく過ごせそうだし、なにより。

将来のメジャーリーガー(になる予定の男)だよ?


現実的なことを言わせてもらえば、愛だのなんだのよりもまずは、セレブ妻よっしゃあってちょっとは思っちゃうよね。
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