プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「ははっ、現実的だね」


女の本音を堂々と暴露するあたしに引くこともなく、ブラックな笑みを浮かべる秀。

さすが慣れてるよね。


「あたしはいつでも本音で生きる女なの」

「俺がみどりを裏切るようなことしたら、多額の慰謝料請求してよ。たぶん浮気はしないと思うし、もししてもバレるようなヘマはしないから大丈夫」

「おい」


そこからいつものようにどうでもいい話で盛り上がって。

さっきまでのはなんだったのかと言いたくなるくらいに、一貫してフツーのいつも通りの雰囲気であたしの家についた。


じゃあねといつも通りにあたしを送ろうとした秀を制して、玄関前で秀を見上げる。


「さっきの、一緒にアメリカ行くかってことだけど。
考えとくわ、ていうか本気で言ってるんだよね」


ここまで言っといて冗談でしたーとはまあならないだろうけど、一応念のために確認をしておく。

あたしだって部活引退したら進路のこと真剣に考えなきゃヤバイし。


「うん、本気。

甲子園終わったくらいでいいよ、返事。
というか決まったとしても甲子園までは保留にしといて。

もし他に一緒にいたい男がいるとしても、甲子園の俺の活躍見たら気が変わるかもしれないし?」

「そんな男は、
......うん、わかった」


好きな男も一緒にいたい男もいない、と言おうとしたけれど、口元に薄い笑みを浮かべている秀を見ていたらなんとなく言えず。

返事をするだけに留めておいた。


「じゃあ、おつかれ。
一輝くんや敦士くんたちによろしく、甲子園で会おうって言っといて」


いきなり突拍子もないこと言い始めたかと思えば、最後は高校球児らしく、さわやかに別れを告げた秀は今日も平常運転だ。

なんかどっと疲れたよね、もう。
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