プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
なんてそんなことを考えてる場合じゃなかった。

顔を近づけてきたので精一杯顔を背けてみせるけど、抵抗むなしく今度は首筋に唇を寄せてくる元カレメガネ。


こいつはあたしを殴りたいんじゃなくて、どうも違うことを考えてるみたいだと察して、さすがのあたしも少し焦ってきた。

ふざけるのはやめて、とメガネの奥で不気味に笑っている目をにらみつける。


「今さらもったいぶんなよ。
お前、誰とでもやる女だろ。
もう野球部全員とやったんじゃないの?」

「......。
そう思いたければ、そう思えば?
あたし好きな人しかしないし、アンタとだけはやらないから」


誰とでもやる女だと思われても仕方ないけど、あたしは浮気もしたこともないし、同時進行で付き合ったことも一回もない。

他人にどう思われようと、自分自身に恥ずかしいことは一回もしてないんだから。


少しも動揺せずにまたにらむ目に力を入れれば、ニヤけていたメガネがみるみる表情を歪ませていくのが分かった。
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