プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「まあな、でも、もしにっしー弟出てきたら、アツい展開じゃね?」


マウンドを見て、ニヤリと笑った敦士に、そんなこと言ってる場合なのかとあきれる半面、ちょっと安心した。

この場面でこんな大口を叩ける余裕があるなんて。


「メガネくんからもまだヒット一本も打ててないのに、そんなこと考えてるなんて余裕があるね」


一年前は、決勝戦で大勢の前で恥さらすなんて、そんなダサいことできるかって勝負から逃げようとしてたやつが、ずいぶん変わった。


「余裕なんてねぇよ。
間近で見ると、レベルが違い過ぎる。
さっきの回は、あいつらバッティングセンターかよってくらいに打ってきやがったし、ぶっちゃけメガネくんから打てる気もしねー。でも......」

「でも?」


今までとはうってかわってネガティブなことを言い出したと思えば、うつむいた敦士にせかすように声をかける。

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