プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「そがんことなかですよ。
相手校のエースが故障で、二番手三番手は風邪だったら勝てるかもしれんばい」

「そこだけ現実的かよ!
そこは、努力でなんとかするって言うところだろうが」


敦士と後輩くんがなにやらやり取りしていたけど、あたしの頭にはこれっぽっちも入ってこなかった。


銀月館と甲子園で戦う?
しかも強豪校私立じゃなくて、自分で道を切り開いて?

なに、それ......、面白そうじゃん。


「ねぇアンタ、本気で甲子園目指すっていってんの?
そのくらいの意気込みって意味じゃなくて?
本気で甲子園いけると思ってんの?」

「本気でいっとうよ。
俺はいつでも真剣勝負ばい」


野球のユニフォームの坊主頭。
ただの野球バカ、かつイカれ男のはずなのに。

まっすぐに言い切るこの坊主が、なぜか私には世界で一番イケてる男に思えた。


おーいお前らそろそろ中入れよーと体育教師がこちらを見ているし。

それから敦士が、一輝くんにチャチャを入れたけど、私はもう一輝くんしか見えなかった。


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