シュールな関係
入れない世界 

前編


目が覚めるとわたしは大きなベッド…

キングサイズだろうか?

そこに横たわり左腕に点滴をしている。


見たことのない天井がぼんやりと見える。


白と黒を基調にした壁紙

イタリアン家具を配置したようなモダンな広い部屋

サラリとした肌触りのいい黒のシルクのシーツ

何処かのホテル…だろうか?


そして…どこか懐かしいような…

覚えのあるムスクの香りがする。


高級感あふれるこの場所は病院でないのは一目瞭然だが…


「ここは…何処なの? わたしは誰!?」

寝起きのわたしの口からポロリと飛び出す。


「ここは何処はともかく、わたしは誰?って…

頭もぶつけてないのに、お前バカか?

もしかして雨で頭イカれたのか?」


横から書類に目を通していた一之瀬さんが

眉間をよせ、わたしの顔を見て非情なる声をかける。


「ここは俺のマンジョン」

「どうしてわたしココにいるの?」

何が何だかよく分からない


「覚えてるか? 

昨日の夜にずぶ濡れになって屋上で倒れたのを…」


「あっ!!!」


そうだ そうだ そうだ!!

思いだしたわ!!


わたし…屋上に閉じ込められたのよ

空腹で震える中、突然降り出したみぞれ雨にずぶ濡れになって…


だんだんとハッキリと記憶が蘇る。

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