シュールな関係
「痴話ゲンカなら余所でしろっ」「ねーちゃん、さっさと乗ってやれよ」
「彼氏可哀想じゃないの~!」
通りには沢山の人がいる。
さすがにこの格好にイケメンでベンツの彼が追いかけて
渋滞を起している図は若者からは好奇心旺盛で、
年配者には非常識に感じられたり
周りの注目を集めるのに十分すぎた。
「お前が強情はるなら車のカギを抜いて一緒に歩くぞ」とまで言いだす。
「わかったわよっ 乗ればいいんでしょ?
そのかわり
わたしに一言も話しかけないでよ!!」
ピタリと車を止め
大和が車を降り、助手席のドアを開けると
「兄ちゃんやったな」「キャーかっこいいっ」と
声が上がるとともに周りから拍手が起きる。
「奈緒 身体…冷えてるだろ?
頬が赤くなってるぞ…
ほら…これでも着とけ」
車に乗ると暖房を最大に上げ、ハンドルを握ったまま
着ているたジャケットをわたしの肩に羽織らせた。
「面倒な奈緒も俺、好きかも」と呟く
本当は寒くて仕方がなかった
ガチガチ震えてるのバレてるかも
会話はもちろんのこと、
目も合わさない様に黙って
車の外の景色を眺める。
大和の脱ぎたてのジャケットからは
香水の香りと彼の体温が伝わる