親指姫な彼女と普通の俺
その夜 ぼーっと携帯ゲームをしていると
乱暴にチャイムが鳴った

それはもちろんあのひとだった

「いらっしゃい~海斗」

「いらっしゃいじゃねーぞ!!とうとう騙されやがったな!!」

とりあえず闘牛のような彼を家に入れた
お茶を入れてテーブルに並べる

「んで?これがその詐欺の種を埋めたアホの結果か」

「ひどいことゆうなよな 152円だぜ」

「は!!?金額的にちっちゃくて凄く安心な僕!!」

安心しているのか怒っているのかよくわからない様子を見て、太陽は手を叩いて笑った

「大丈夫だって ちゃんと育てるから」

「いや、そういう問題じゃねーし はぁ… んで?これ何なんだ 何の種 何が呼ばれて飛び出る 」

頭を抱えて言った

「何が呼ばれて飛び出るかはわかんないけどさ 一週間から10年かかるって」

「むっ ムラすげ!! いつになるか謎じゃねぇかよ あー… お前これ育てんの?」

ニコニコと楽しそうに太陽は植木鉢を見た

「もちろん」

観念したように唸って
肩を落とす

「ったくー 勝手にしろぼけあほマヌケ」

「あい 勝手にしますとも」

帰り際になって

「虫避けるやつとかいらねぇのか 栄養剤とかどうすんだボケ」

と真面目に聞いてきた

「海斗ってさー… 何だかんだでお世話してくれるよね」

「うっせぇ!! いるなら買ってきてやるアホンダラ!!」

口は悪いが優しい親友に感謝する
太陽だった

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