親指姫な彼女と普通の俺
「シュシュ大丈夫だった?」

「なんのこれしき… 歯ブラシとやらが
まさかあんな…」

歯磨きとゆう名の格闘を終えて戻ってきた
何をするにも力と技術が必要となるためシュシュはヘトヘトになってしまっていた

「やっぱり大きいよな 子供用買ってくるね それでも大きいしな~ 色々不便だな…」

「すみません… 私が小さいばかりに…」

「そんなことないよ 俺がなんとかするから それまで我慢してな」

そんな笑顔に心があたたかくなるような
安心を覚える

(太陽君… 嬉しいなぁ)

朝食の用意をしようと
太陽が立ち上がった時だった
凄まじく乱暴にチャイムが鳴り響いた
もはや何かの襲来のようだった

「な な 何やつ!!! 太陽君敵ですよ!?」

「あ~ 大丈夫大丈夫 あのひとだから」

そう言って何事もないように普通にドアをあけると
目の下にどす黒いくまを作り、メガネはずれて、髪も若干乱れ、シャツのボタンをかけ間違えた彼がいた

「た~い~よ~おおおおおおお」

「おっす海斗」

ドスドスと足音をたてて部屋に入ってきた
落ち着けようとするが、それどころではないようだった

「おまっ あれっ なんだっ あれっ あの なにあれ」

「へ?あの写メのこと?」

「そそそそそそ それ以外に何があるんじゃあ!! なんだあの生命体!?」

とりあえず座らせるが、海斗はまったく
落ち着きを見せない

「何なんだ!? 呼ばれて飛び出たよ~ じゃねーよ!! 何でそんな落ち着いてんだ!!」

「そりゃー 妖精の種って言われて買ったわけだし… あ! 詐欺じゃなかったでしょ?」

ニコニコと嬉しそうに胸踊っている様子に
両手をぶんぶん振り回して

「そういうとこじゃねーよ!! 育てた花の中から 得体の知れない生命体が出てきて しかも何あのポーズ!? コマネチじゃねーか!!」

いやぁと頭をかきながら

「だってシュシュが自分で考えたやつだしさ 自由にさせてあげようと…」

「しゅ しゅしゅ?」

頭の中に?が100個ほど浮かんでいる
海斗に声がした

「わっ 私のことです!」

「………は?」

キョロキョロと周りを見回して
太陽の目を見る

「お前……?」

「ううん シュシュ」

指差したそこには
怒ったように立っている小さなシュシュの姿

「失礼ですよ! 得体の知れないとか!私の考えたポーズの文句とか!」 

次の瞬間、海斗が気を失ったのは言うまでもない
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