もしも勇気が出たら君を抱きしめたい

体育会が終わっても、伊東は絶対にお題について、なにも教えてくれなかった。

話をふると、すごい勢いで話を変えるか、どうしようもないときはそそくさと逃げていく。


「なぁ伊東」

「先生知ってます?しつこい人ってもてないんですよ」


あげくのはてに、こんなことを言う始末である。

僕はもてなくてもいいのだけれど、伊東はどうだ!もう聞けないだろう!という顔で見てきて、そのドヤ顔がかわいくて結局何も言えなかった。

結局お題のことも、しばらくすると忘れてしまって、あっと言う間に11月になった。



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