男子と会話はできません


















放課後。


「忘れてた」


教卓の上に積まれたノート。


今日は日直で、わたしが科学室にこれを置きに行くことになっていたんだ。


「よし」


気合いで抱えた。


科学室は向こうの校舎にある。階段を上らないだけラッキーかな。


渡り廊下を歩いて、購買部の前を通る。


笑い声が聞こえて、窓から見える昇降口を見下ろした。


花壇の前に、実咲ちゃんと鮫島先生と他の生徒が並んでいた。


部活、早いな。


今日は先生がいるからか、すごい楽しそう。


先生が長い髪が好きだと知って伸ばした髪の表面が艶々光る。


実咲ちゃんは行動力がある。


先生に片思いなんて無理だと思うけど、やることやってから決めたいって言ってたもんな。


それがなんだかいつも羨ましかった。


『意識するくらいだったら、自分で行動してみたらいいじゃん』


『忘れるなら、忘れる。行動するなら行動するって決めなね』


わたしなんか杏奈のアドバイスを受け流したりして、いつも中途半端だ。



できないからって。
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