鬼系上司は甘えたがり。
「薪ちゃんは主任にどんなプレゼント贈ろうと思ってるの? ていうか私、主任の好みとか知りたくないんだけど。……なんか恐い」
「恐いって……アナタ、人の彼氏に対してあんまりだね。いや、私だって、主任の好みが私だってことくらいしか分かんないんだけどさ」
「はーん? ノロケ? リア充くたばれば?」
「調子に乗りましたごめんなさい」
でも、クリスマスプレゼントがなかなか決まらなくて困っちゃう、なんていう女子っぽい悩みを数年ぶりに体験しているんだから、浮かれ気味なくらい大目に見てもらえないだろうか。
じっとりとした目で私を流し見る由里子に、へにゃりと笑顔を作ると、やれやれと溜め息をつく彼女の腕に自分の腕を絡め、街を歩き出す。
外は寒いけれど、胸の中はホカホカだ。
ただ、いざ主任に贈り物をしようとなると、どれも目移りしたり、果たしてこれは喜ぶの?と根本的な部分で疑問を感じたりと、少しも好みを知らないことに気付かされ、悲しくなる。
何時間もつき合ってもらったのに結局何も選べないまま、休憩のためと、今日の罪滅ぼしにご馳走すると言って連れ立って入ったカフェ。