鬼系上司は甘えたがり。
 
「いや、でもそうでしょ? 一途に片想いされてたのは分かったけど、薪ちゃんだって気になってるはずだよ、自分のどこにそこまで想われる要素があったのか。だって薪ちゃん、趣味が恋愛映画で休みの日は日がな一日干物化するってイタいもん。全然ハツラツしてないもん」

「……うん、そ、そうだね」


とほほ……。ほんとこの子、毒舌だわ。

心に何本ものぶっとい矢をズバズバ刺され、ぐうの音も出ないほどに精神を痛めつけられた私は、もはや言い返そうと思う気力すら完膚なきまでに削がれ、ただ黙って相槌を打つのみだ。

確かに私も気になってはいる、主任は私のどこら辺を気に入ってくれているのだろう、と。

私は特に美人でも可愛いわけでもないし、スタイルが良いわけでもない、仕事がデキるわけでもなければ、気が利くほうでもない。

イタいと言われてしまえばそうなのだろうと納得するしかないけれど、趣味や生態は先に由里子がズケズケと述べた通りハツラツしていない。

……あれ、あの人、私を好きで大丈夫なのかな。


「ていうか、薪ちゃんはどうなの? あの鬼のどんなところを好きになったから、わざわざつき合おうと思ったの? それも気になるわ」
 
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