鬼系上司は甘えたがり。
すると、私を服の上からぎゅーぎゅーと抱きしめながら耳元に唇を寄せて主任が訊ねてきた。
由里子の名前が出た途端、今までの幸福感は影を潜めてしまったけれど、主任相手に隠し通せるはずもないので、覚悟を決めて渋々答える。
「……そうですね、今日はどうしても反撃したいことがあったんで、一人前に盾突いてみたんですけど、私じゃ全然歯が立ちませんでした」
「そうか、何を言わされた?」
「主任の……その、好きなとこ……ろ」
「へぇ〜」
言えない!主任のエッチがどうかなんて、本人を目の前にして言えるわけがない!
たどたどしく紡がれた私の答えに相槌を打った主任は、そのまま少し黙り、頭の上であけすけに何かを企んでいる風なオーラを放出する。
それはきっと私に自分の好きなところを言わせることだろうけれど、たとえどんなに恥ずかしいことを言わされたとしても、大人の夜の営みについてのことだけは絶対に言えない。
柔軟剤の命にかけて、断固として口を割るものか。……別に人質でも何でもないけど。
「よし、そういうことなら、今夜は喰われながら俺の好きなところをずっと言ってろ」
「……ひっ!」