鬼系上司は甘えたがり。
 
そう、こ・れ・だ!

この思い出が沢山詰まった靴をなんとか修理して、主任にプレゼントしよう!そうしよう!

幸い、今肩に掛けているバッグの中には革靴くらい優に入るサイズのエコバッグがある。

コンビニやスーパーなどでちょっとした買い物をするときのために常日頃から持ち歩いているもので、本当はもう少し小さくても何も問題はないのだけど、大は小を兼ねると思い、折り畳んでバッグに忍ばせているのだ。

まさかこんなところで役に立つなんて……!


「すみません、部屋に忘れ物しちゃったんで、先に車に行っててもらえますか?」

「まあいいけど、早くしろよ?」

「了解しました!」


そうして主任には先に行ってもらい、私は一人、サプライズ大作戦に胸を躍らせつつ、こっそり革靴を持ち出すことに成功したのだった。

一つ気掛かりだったのは、急に増えたエコバッグを目にした主任がどんな反応を示すか、ということだったのだけど……。


「下着とか服とか、いちいち自分の家に持ち帰って洗ってこなくても、俺のと一緒に洗えばいいだろ。何気に傷つくんだぞ、そういうの」


だそうで、完全に私の杞憂だった。
 
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