鬼系上司は甘えたがり。
 
エコバッグの中身が昨日身に着けていた私の服だと思い込んだ主任は、それからしばらく、自分の洗濯物と一緒に洗ってもらえない悲しさをブーブー嘆いては、やんわりと断り続ける私に遂には同棲まで持ち掛けてくる始末。

こんなに言い寄られると色々と罪悪感だ。

でも、よ、よかった、主任の部屋に少しずつ服を置かせてもらうようになってはいたけど、無精せずにきちんと持ち帰っていて。

実は全くの想定外で、にも関わらず見事なまでの伏線を引けていた自分のファインプレーに密かに鳥肌が立ったことは、誰にも秘密だ。


ごめんなさい主任、でも許してください。

もしもまたエコバッグが必要になる事態が発生したときのために、これからも服や下着類はこまめに持ち帰らせて下さい。

あと、同棲の件はまずは話し合いましょう。





そうして迎えた、クリスマス当日。

由里子に散々な目に遭わされたり、同棲を持ちかけられたり、靴の修理屋さんが思いのほか少なくてなかなか見つからなかったり、先日行われた編集部の忘年会での部長の腹芸がことのほか面白くて爆笑しっぱなしだったり……。
 
< 135 / 257 >

この作品をシェア

pagetop