鬼系上司は甘えたがり。
「薪なら絶対気に入ると思ってな。秘密にしていても仕方がないし、この際だから部屋を見せた方が早いと踏んだんだ。それに、観た映画の感想を言い合う仲間が欲しいと思っていたところだ。趣味が同じなら構わないだろ?」
「はい!」
勢い良く返事をした私に主任が満足げに笑う。
なんて嬉しい申し出なんだろう!
恋愛映画が趣味でよく観に行くけれど、いつも一人でやっぱり寂しかったし、本音を言うと、感想を言い合う仲間もずっと欲しかった。
私の交友関係は狭い。
唯一の友人と言っても過言ではない由里子嬢を一度誘ってみたことがあるのだけれど、彼女ときたら『何が悲しくて女二人でゲロ甘の恋愛映画を観なきゃならないの、他当たって』と、気持ちいいくらいハッキリ言い切った。
それからというもの、軽くトラウマになってしまったことは言うまでもなく、主任に遭遇するまでの間、誰とも映画の話はしたことがない。
「仕方ない、今日はポップコーンのお詫びに薪の好きな映画を観ていいぞ。選んでる間に何か適当に作るけど、食えないモンあるか?」
「マジですか!食べられないものはないです!」
「そういやお前、雑食だもんな」
「雑食って……。家畜じゃないんですから」