鬼系上司は甘えたがり。
 
主任とつき合い始めて丸2ヶ月、そんなに日は経っていないはずなのに、一緒に過ごした日々の密度が思いがけず濃いからだろうか、つい主任と比較してしまい、慌てて小さく頭を振る。

今は仕事中だ、余計なことは考えないようにしないと、あとで会社に戻ったときの報告の内容が、主任と奥平さんの違いになってしまう。


「どうかなさいました?」

「……あ、いえ、なんでも」


けれど、煩悩を振り払っているところをしっかり見られていたらしく、奥平さんに不思議そうに首を傾げられてしまった私は、曖昧に笑って紅茶に口を付けながらその場を取り繕う。

苦し紛れにほかの話題を探して窓の外に目を向けてみると、さっきまでは無かった白いものが空からヒラヒラと舞い落ちていることに気付いて、思わず見入ってしまった。


「あ、雪……。気温、下がってきているんですかね、中にいたから全然気が付きませんでした」

「ああ、本当だ。牡丹雪ですね」


外では大粒の雪がしんしんと降っていて、私と同じように外に目を向けた奥平さんも、しみじみとした口調で舞い落ちる雪を眺めている。
 
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