鬼系上司は甘えたがり。
「奥平さん、本当にありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいのか分かりません……」
目尻に溜まった涙を指先で拭いながら、大切に手に取ったトップ部分を反対の手で胸の前に抱き寄せ、奥平さんにニッコリと笑う。
主任にとってはもう必要のないものかもしれない、だけど私には、これに代わるものはない。
改めてそれを痛感した私は、さっそく自宅から持ってきたチェーンに雫モチーフのペンダントトップを通し、自らまた首輪をつけ直した。
--今度は何があっても絶対に失くさない。
そう、固く心に誓って。
それはそうと、一時は諦めかけていたけれど実際に現物を目にするとやっぱり主任への想いがとめどもなく溢れ出してしまい、私の涙腺は、自分の体の一部ながらなかなかに手強い。
しかし、一向に泣き止めずに「恥ずかしいな、もう……」なんて苦笑を零しながら笑い泣きをしているそんな私を見て、奥平さんは満足そうに微笑みながらブラックコーヒーを実に美味しそうに啜り、一生懸命に話しかけてくれる。
「お礼なんていいですよ。1ヶ月もお待たせしてしまいましたし。それより、気が気じゃなかったでしょう。彼氏さんとはケンカになりませんでした? 俺はそっちのほうが心配で」