鬼系上司は甘えたがり。
 
「ああ、そうそう、それを見つけた場所のことなんですけど、やっぱり渡瀬さんがお座りになっていたソファーの下にあったんですよ」

「え!? そうなんですか!?」

「ええ。ソファーの下の、脚の脇に。ほら、ソファーってあんまり動かすものじゃないじゃないですか。入念にライトで照らしても見えない場所だったので、見つけるのに随分と時間がかかってしまったんです。すみません」

「謝らないでください。見つけて頂いて本当に感謝しているんです、ありがとうございます」


そんな会話をしているうちに次第に私の涙腺も元に戻り、それからしばらくして、すっかりご馳走になってしまった形で私たちはカフェを後にし、事前に聞いていた通り、買い物につき合うため、街に繰り出していったのだった。





それから数時間。

すっかり日も暮れ、藍色の空に冬の星座が瞬きはじめる頃、奥平さんと私は、待ち合わせ場所にしていた駅前の銅像の前に戻ってきていた。

時刻は午後6時を少し回った辺り。

久しぶりにアクティブな週末を過ごした私は、奥平さんに負けず劣らず両手にたっぷりと買い物袋を携えていて、彼のおかげでいい気分転換をさせてもらえたことをとても有り難く思う。
 
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