鬼系上司は甘えたがり。
彼の言葉に、私もしみじみ頷く。
確かに女性は男性に比べて、どうせ食べるなら美容や健康、ダイエットなんかに効果のある料理を食べたいと思う傾向があるように思う。
少しくらい値段が高くても、そのぶん“満足度”という付加価値が付くので、もしかしたら女性のほうが思い切りの良さがあるかもしれない。
実際に私も、ビタミン、ミネラル、低カロリーなんていう謳い文句に乗せられてトマト鍋をオーダーした口だし、行ったことはないけど、女子会なんかではきっと見た目も味も申し分ないヘルシー料理が所狭しとテーブルに並ぶだろう。
「あ、じゃあ、朝食バイキングでチアシード入りのヨーグルトとかをお出ししたら、お客様がお喜びになられるかも。腸内環境を整えてくれるんですって。女性ってそういうものに目がないですから、お客様が増えるかもしれません」
「ああ、名前だけは知ってます」
「さすが奥平さんですね。私なんて、ついこの間見たテレビ番組からの受け売りですよ」
へへへ、と笑って、鍋からスープを掬う。
一人の時間が増えたのでテレビを観る時間も自然に増えたし、観ると切なくなるから、最近は趣味の恋愛映画も随分ご無沙汰だ。