鬼系上司は甘えたがり。
 
「あのな、俺のもう一つの秘密、薪にだけ特別に教えてやるよ。実は俺、極度の“甘えたがり”なんだ。薪は俺の下僕みたいなモンだからな。甘えたいときに呼ぶにはもってこいだ」


妖しい笑みを湛え、そう言った。


「は? いや、ちょ、ちょっと待って……」

「おい、敬語抜けてるぞ」

「いやいや、でもでも……っ」


恋愛映画が趣味という可愛らしい部分があることは分かった、ハイスペックなのもパスタの出来映えを見ての通り、でも、あ、甘えたがりって!? しかも“極度の”って言ったよ、この人‼

今までの主任のイメージとは月とスッポンほどもかけ離れている秘密を打ち明けられて、私は一体どうしたらいいというの!
 

ずいっと顔を近づけられたので、反射的に仰け反りつつ、上手く断る方法はないだろうかと、めいいっぱい頭を働かせて考える。

無理、無理、無理、無理。

仕事上での下僕なら甘んじて受け入れているけど、甘えたいときに呼ばれるって完全にプライベートでしょ!? そんなの身が持ちっこない。

けれど、いやいやと首を横に振って拒否する私に、主任は容赦なくこう言い放つ。
 
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