鬼系上司は甘えたがり。
 
寝ているときに苦しいと困ると思い、主任が緩めただけだったネクタイは私が代わりに取った。

ワイシャツの首元のボタンも外したし、なんだかいやらしいことをしているみたいで落ち着かなかったけれど、ズボンのベルトも抜いて、お腹回りをスッキリさせてあげた。

思えば、こんなに主任に触ったのは初めてだ。

普段仕事をしているときは気にもならなかったけれど、広い肩幅や筋肉質な腕、そもそもの男女の体格差が、主任もやっぱり“男の人”という感じがして、一人で妙にソワソワしてしまったことは、私だけの秘密にしておきたい。


「てか、甘える相手は私でいいんだろうか」


そもそもの問題はそこだと思う。

主任の恋人関係は分からない。

でも、一人で映画館に行ったり、部下を普通に部屋に上げるところから見て、今現在、つき合っている女性がいそうな気配は薄そうだ。


けれど遠恋中って可能性もあり得ると思う。

もしかして“遠くの恋人より近くの下僕”的な?

そこまでして甘えたいのだろうか。

うーん、謎は深まるばかりだ。
 

「あー……足が痺れてジンジンする……」


膝枕って長時間やるものじゃないんだなぁ。
 
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