鬼系上司は甘えたがり。
 
なんていうか、苦行? 修行?

安心しきったように規則正しく胸を上下させている主任の無防備感が、こんなときなのにやけに可愛らしくて、だからちょっぴり憎らしい。


幸い主任は、直に床にゴロリではなくローテーブルの後ろにあるソファーでの膝枕を望み、そこには軽く畳んだ大きめのブランケットもあったので、2人でくるまると寒くもなく、私はソファーに背中を預けて座ることができている。

10月に入って最初の週末、朝晩は肌寒くなってきたから、ブランケットがあって助かった。

ただ、帰れない。

このままじゃ、ブランケットの温かさと主任の体温で本当に寝落ちしてしまいそうだ。


「……でも、ま、いっか」


人間、誰しも眠気には逆らえない。

オードリーも可愛かったし、パスタもワインも美味しかったし、寝落ちもいいかもしれない。

満腹感とワインのアルコール、それに眠気がプラスされて思考力が鈍くなった頭は、主任と一晩このままでもいいかなという方向にどんどん傾いていき、ついに私は、カクン--。

ソファーで寝落ちした。





翌朝、昨夜と同じ体制で目覚めると、膝の上の主任はすでに起きて行動を開始していた。
 
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