鬼系上司は甘えたがり。
 
やがて雪が解けて春になり、新入社員が数名編集部に配属されると、最初は主任と私のやり取りに恐れ戦いていた彼らも、日が経つにつれてただのじゃれ合いだと気付いてくれたようで。

今年の新入社員の間では既に『フリーペーパー編集部といえば新田主任と渡瀬先輩』とセットで名前を挙げられるほど有名になってしまった。

……なんだか微妙に不名誉だ。


それはともかく、仕事のほうも順調で、新たに数件、主任の顧客を引き継ぐことになった私は、仕事もプライベートも充実した毎日だ。

それでも、時間を見つけてはちょくちょく出向くのは多賀野くんの再就職先である例のホテルで、会うたびにメキメキとホテルマンらしさが板についていく彼と他愛ない話をするたび、私も頑張ろう!と、とてもいい刺激を受けている。

休みを合わせ、由里子と3人、“同期会”なるものを開くのも度々のことで、お互いに進んだ道は違えど“同期”の大切さや有難み、どれだけ特別なものなのかをしみじみ感じながら、アルコールが並々注がれた3つのグラスを突き合わせ、あの頃出来なかった楽しい飲み会をしている。
 
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