鬼系上司は甘えたがり。
 
この人の一番可愛いところも、一番弱いところも、私だけが知っていればいい。

毒舌、鬼畜、超ドS--そんな会社の誰もが恐れる“鬼の新田真紘”が唯一心から安らげる場所がこれからも変わることなく私の隣りであるとしたら、こんなに幸せなことはない。

「主任もどんな私でも好きですよね?」と悪戯心で試しに聞いてみれば、大いに口をへし曲げた主任はすこぶる面白くなさそうに言う。


「……じゃなかったら、こんなにお前に執着するか。俺は絶対、自分からは言わないからな」

「あははっ、分かってますよ〜」

「フン、ならいい」


そんな主任がなんだか無性に可愛らしく思えてしまった私は、不覚にも笑ってしまう。

するとすかさず、隣から射殺さんばかりの鋭い視線とたいそう不機嫌なオーラを放ちながら主任が無言の圧力をかけてくるけど、それが主任なりの照れ隠しなのだとすぐに分かってしまうくらいには、私もだいぶ毒され慣れた。


……まったく、本当にこの鬼は相変わらずだ。

きっと宣言通り言わないに違いない。

だけど、こんなにも可愛くて愛おしい鬼がそうそういるはずもなく、私の顔は途端に嬉しさで綻んでしまうのだから、もうどうしようもない。
 
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