鬼系上司は甘えたがり。
私の個人的なコレクションにするつもりだったのだけど、主任はそんな限定的なものであっても写真に撮られるのはお気に召さないらしい。
……まあ確かに、30歳という大台に乗ったことに加えて、主任のこの性格なら、断固として拒否するのも当たり前のことなのかもしれない。
でも、せっせと準備をした身としては、蝋燭を吹き消す瞬間をぜひ写真に収めたいところだ。
これは私とて簡単には譲れなかった。
すると、そんな私に奇跡が起こる。
やっぱり無理なのかな……と明かりを落とした主任の部屋のリビングでオレンジ色に揺らめく蝋燭の炎を気落ちしながら見つめていると、なんと主任がそこに顔を近づけ始めたのだ。
またとないシャッターチャンスに盛大にもたつきながらも、急いでスマホを構える。
今日は私にとっても特別な日だから、どうやらワガママを聞いてくれる気になったらしい。
「……くそ、覚えとけよ」
蝋燭の火を吹き消すと、ケーキから顔を上げた主任がひどく居心地悪そうにそう悪態をつく。
ここ主任の部屋なのにごめんなさい。
でもいい写真が撮れて嬉しいです!私は!