鬼系上司は甘えたがり。
誘っては、いない。……たぶん。
「誘ってんのか?」とか言いながら誘っているのは、むしろ主任のほうだと思う。
けれど当然、私に拒否権はない。
「喰ってやる、行くぞ」
「わわっ、ちょっ……!」
モジモジしている私の背中と膝の裏に腕を回し軽々と持ち上げた主任にあっけなく捕獲され、お姫様抱っこでいそいそと寝室へ連行される。
そんな強引すぎる態度とは裏腹に私を優しくベッドへ下ろし、へりに腰かけさせると、しかし主任は隣には座らず、私の正面に膝をつく。
はて?と思っていると。
「……薪、これからも俺から離れられない契約をしようか。ちなみに拒否権はないし、一生だからな。どうだ、嬉しいだろう?」
どこに隠し持っていたのか、私の手を取り、そこに小さな箱を乗せながら主任が綺麗な一重瞼の目を細め、薄い唇で不敵に笑うものだから、私はあまりに突然のことに目を瞠るばかりだ。
けれど、すぐに意味を理解した私は、今度は感激で目を潤ませながら自分の手に重ねている主任の手をそっと包み込みながら何度も頷く。
まったくこの人は……。
プロポーズまでドSだなんて、一体私はこんな鬼のどこに惚れてしまったというのだろうか。