鬼系上司は甘えたがり。
数時間後--。
ふと眠りから覚めた私は、サイドテーブルの間接照明の明かりに自分の左手をかざし、何とも言えない幸福感をひっそりと噛みしめた。
薬指にはエンゲージリング。
私の胸元にはそこに顔を埋めて気持ち良さそうに寝息を立てている主任がいて、すっかり寝入っているのにも関わらず、どう足掻いたってその腕からは抜けられそうにないのが可笑しい。
寝ているときまで捕獲され続け、今宵“一生離れられない契約”の約束を強引に取り付けられた私のことを、由里子あたりならおそらく「薪ちゃんそれ正気!?」と言って大笑いするだろう。
いや、無論、私もそんな気分だ。
だけど、こんなにも私に執着してくれる主任のことが愛おしくて愛おしくてたまらないのだ。
恋と仕事の両立は難しいと勝手に諦め、お手頃価格でときめきを買っていた私に、どんな恋愛映画よりも素敵な恋をさせてくれたのは主任。
この人の隣りで、かなり横暴な甘え方ではあるけれども、こんな風に愛される幸せや喜びを教えてくれたのは、誰もが恐れる鬼なのだ。
「これからも安心してずっとずっと私だけに甘えて下さいね。どんな主任も全部好きです」