鬼系上司は甘えたがり。
 
確かに私の週末はほとんど干物だ。

午前中は二度寝、三度寝が当たり前、朝ご飯とも昼ご飯とも呼べない時間に適当に何か食べ、溜まった家事をしたり映画のDVDをレンタルしに行ったりして土曜日が終わる。

日曜日は借りたDVDを一日中観たり、気が向いたときにちょっとショッピングに出かけてみたり、お一人様でご飯を食べてみたり……。

誰に気兼ねすることもないので、部屋にいるときの私はゴロゴロするのが当たり前、自分の手の届く範囲に物を置いて生活し、恥ずかしながら、トイレ以外でどれだけ動かないで一日過ごせるか検証してみたりしたこともあった。

そんな私が主任と紅葉狩りなんて。

何かの嫌がらせなんじゃないだろうか……。


「主任、あの、私、休みの日は一人で自由気ままに過ごしたいインドア派なんですけど……」


紅葉狩りに行ったら心が洗われるくらい綺麗な景色を拝めるんだろうけど、なんせ体力面に不安要素しかないので、とにかく行きたくない。

それを遠回しに伝えると、主任の片眉がピクリと持ち上がり、ギロリと鋭い目で睨まれる。


「お? 下僕のくせに従えないと?」

「そんな滅相もない!ただ、主任は私なんかと週末を過ごして楽しいのかなー?と思うんですよ。もっとぴったりな人がいるはずです!」
 
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