鬼系上司は甘えたがり。
 
「あ、いや……すまん。けなすとかバカにするとか、そういう意味で言ったんじゃないんだ」


フガフガと鼻息を荒くしていると、よっぽどマズかったと思ったらしく、主任が珍しくおろおろとした様子で小さく謝罪を口にした。

ふん、もう少しそうしていたらいいさ。

とは思ったものの、背後にいる主任の気配がなんだか叱られたペットみたいにシュン……としたものだったので、だんだん悪いことをしている気分になり、とうとう私は聞いてしまう。


「じゃあ、どういう意味ですか?」

「んー、そろそろ薪も一皮剥けてもいい頃かなと思ってな。確かによくやってるし、お前宛のお礼の電話を俺も何度か取ったこともある。薪のそのやり方でどこまで出来るか見てみたいってのが俺の率直な意見だ。下の奴らもけっこう育ってきたし、俺と半年組んでみるってのも、お前のためにはいいんじゃないかと思う」

「へ!? 主任と!? 組む!?」

「そ。大口契約が取れたときは気持ちいいぞ」

「……………はいっ!?」


しかし私は、どんなに良心が痛んでも絶対に聞かなければよかったと早々に後悔した。

主任と半年も組むだなんて……。

半年後、私はまだこの世にいるだろうか?
 
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