鬼系上司は甘えたがり。
 
主任は私の奥さんですか。

舌の上に広がる酸味と苦味、食べる直前にフードプロセッサーで細かく砕いた氷のシャリシャリ感がとても心地よく、舌鼓を打っているうちに帰るのが億劫になってしまったではないか。

……なんていうか、奥さんの美味しい手料理食べたさにきっちり定時で帰る部長の気持ちが、今なら手に取るように分かってしまう。

部長は超が付く愛妻家なのだ。

それに、少し言い訳をさせてもらえるならば、満腹感に触発されて襲ってきた眠気に逆らうのは愚行というものではないかと思う。


「……主任、眠いれふ……」

「だろうな。呂律が回ってない」

「れすよねー……」


ふわふわと心地いい感覚に身を任せれば、瞼が持ち上がらなくなるのなんてあっという間だ。

「せめて歯磨きをしろ」と言われて洗面台に連れて行かれ、こっくりこっくりと船を漕ぎながら歯を磨き終わると、そういえば今日は私が甘えちゃってるなー、なんて思ったのも束の間、私の意識はプツリと途切れたのだった。





翌日、たっぷりと寝た感覚を体に感じながら目を覚ますと、時刻はすでに午前11時だった。
 
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