鬼系上司は甘えたがり。
「エサを待つ犬みてぇ。薪にお似合いだ」
「んな!」
「従順なのは結構、結構。ほら、さっさとそこ片付けてパエリア食おうぜ。今日も美味いぞ」
「へいへい、分かりましたよー」
まったくもう、なんでこう減らず口なんだか。
ブツクサ文句を言いながらテーブルに広げていた紙を片付け、お皿を置くスペースを作る。
従順なのは下僕だから仕方なくだし、私は断じて犬キャラじゃない。百歩譲っても忠犬ハチ公的な、銅像になれるくらい立派な犬だ。
……あれ? 自分で犬キャラって認めたね私。
やばい、疲れすぎてて頭がおかしい。
そんなことがありつつも、今日も主任が作ったご飯はお店のそれを優に超える美味しさで、かなりの腹ペコだった私は、さすがの主任も「エサ食わせてなかったみたいだからそんなにがっつくな、良心が痛む」とドン引きするほどガツガツ食べ、大きなフライパンいっぱいに作ったパエリアをほとんど一人で完食してしまった。
食後に、前日の夜から凍らせて準備していたという、さっぱりとしたグレープフルーツシャーベットを出されては、もう完敗だった。