鬼系上司は甘えたがり。
 
「主任、私と一緒に寝たんですか!?」


特に守らなくてもいいような陳腐な体を、服の前を掻き合わせたり布団を手繰り寄せたりしながら、毛を逆立てる猫のように威嚇する。

そこは一応、女子としての恥じらいだ。


「生々しい言い方だなオイ。寝たよ悪いか。まあ、お子ちゃまな意味での“寝た”だけどな」

「なっ!?」


けれど主任は、どうやらオブラートに包んだ言い方というものがハナからできない人らしい。

意地悪くニタリと笑って言われ、そのあまりの衝撃に、私はしばしの間、絶句した。

もちろん、寝落ちしてしまった私が一番悪いのは分かっているし、ベッドで寝かせてくれた主任の優しさも少しは感じる、だけどもうちょっと女心を考慮した言い方ができないものかね。

……まあ、主任には無理だろうけど。

納得できちゃうところが悲しい。


「ほら、今週末はまた違うところのホテルに挨拶に行くんだ、メシ食ったら部屋まで送ってってやるから、とりあえずベッドから出ろ」

「え、またですか!?」

「嫌そうな顔をするな、バカモノ」

「へい〜……」


そうして、今週末も主任のスケジュール管理の下、貴重な私の休日は鬼の手によってハードなものへと強制変更させられることになった。
 
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