鬼系上司は甘えたがり。
正午には少し早い時間に摂った食事は昨日のイタリアンから一変して軽めの和食で、ご飯と味噌汁、卵焼きにカレイの煮付けとお新香はどれもたいへん美味しく、主任とランデブー再びという恐ろしいことが待っているにも関わらず、ペロリと平らげてしまう。
けれど、食事で膨らんでいく胃とともにムカムカする気持ちも膨らむ一方で、先週と同じように私が身支度をする間、車の中で待っていた主任に連れられるままに向かった、山あいの温泉街に店を構える老舗ホテルへの道中--。
「主任って、彼女によくフラれません?」
気づくと口をついて出ていたのは、きっと歴代の彼女さんも主任のこの性格に気苦労が多かったんだろうなという、彼女さんらに対する同情と、主任の暴君主義に対する非難の言葉だった。
すぐに隣りの運転席から主任の禍々しいオーラが発せられ始めたけれど、ひぇぇ!と縮こまりつつも、間違ったことは言ってないもん!と気持ちだけは大きく持ってそれに耐える。
だって、毎回毎回こっちの気持ちも考えずに連れ回されたんじゃ、いくら下僕や仕事の一環とはいえ、さすがにたまったもんじゃない。