歪んだ愛情【更新中】
ファンデーションを塗り直し、美海は化粧室を出た。
戻ってみると千歳の不安そうな顔に美海は笑った。
「ごめんね。さっき変なこと聞いて。答えたくなかったら答えなくていいから」
さっきふと思い出したように美海は千歳のアドレスを見た。
chitose.me0m62o9ry.a-bl.y.ue-a@×××.ne.jp
何故今まで気が付かなかったのか、
こんなにはっきり彼女がいるというメッセージが発信されていた。
「ねえ美海。あの、」
「千歳どっか行こう。ね?」
席を立つ千歳より先に美海は伝票を取った。
追うように千歳が立ち、
急いで美海の手から伝票を取った。
「俺が払う」
「駄目」
「払わせて」
「あたしは彼女じゃないよ」
美海は自分の分のお金を千歳に渡した。
どんな場合でも
男が最終的に伝票を持って会計をした方が格好いいと美海は思ってる。
先に店を出て空を見上げた。
「俺、美海のそういう所がいいと思う」
「え?」
「最後は花を絶対持たせてくれるでしょ?」
千歳は美海の鞄に
静かに千円札を入れた。