歪んだ愛情【更新中】
ベッドに腰を掛け、
煙草に火を点ける信吾を背に飾られた写真に手を添える。
「幸せそう」
小さな声で思わず言葉を漏らす。
労りのない、
苦のない、
澄んだ笑顔。
千歳と撮った写メと同じ笑顔で笑う自分に思わず苦笑いをした。
今この笑顔を
信吾の隣で振り撒くのは無理であろう。
薄い唇に煙草を加え、
信吾が手を伸ばす。
「おいで」
美海はこの手を振りほどいてはいけない。
この手を受け入れるべき立場にいる。
そっと手を添えれば、
強引に引き寄せられ、
信吾の上に重なるように倒れこんでいく。
顎を引かれ、
目を閉じる信吾の唇がゆっくり近付く。
小さく音を鳴らし、
唇が重なる。
いつもと同じ
煙草の味。
ベッドの隣にある机に
ガラスのブランド物の灰皿が置いてある。
汚してはいけないような灰皿に灰をこすりつけ、火を消す。
これから始まる行為を
美海は断れない。
断ってはいけない。
そういう立場。
信吾の彼女という
絶対の立場。