歪んだ愛情【更新中】
汗で少し濡れた前髪を信吾の長い指がゆっくりと通る。
薄く目を開けると
笑顔を向けてくる。
机の上にある煙草に手を伸ばし、美海の口に1本挟んできた。
「ありがと」
「いーえ」
このままじゃいけない。
だって気持ちが今ここにない。
信吾の隣に
今自分がいないのだから。
明日は千歳のデートが待っている。
澄んだ笑顔で千歳に会いに行き、
千歳の横できっと美海は笑い続けているのだ。
「信ちゃん、今あたしの事好き?」
「当たり前じゃん」
「前はよく浮気してたけど、今はしてないの?」
「もうしないよ!俺は美海以上に愛せる人なんていないから」
「あたしが浮気してたらどうする?」
浮気はしてないよ、
という意味を込めて美海は無邪気に笑って見せた。
でもその無邪気な笑顔に返すように信吾も白い歯を見せ屈託のない笑顔を向ける。
「殺す」
無邪気な笑顔は一瞬にして氷ついた。
そんな笑顔で言うような言葉だっただろうか。
「相手は確実に殺す」
付け加えるように
煙草の煙を吹きながら信吾は言った。
煙草を持つ手が震えた。
信吾の目が本気だった。
背筋に冷や汗をかく。
信吾は本気でやると思う。そういう人だ。