夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「ふー……楽しかった!!」
泳ぎ切った私はプールサイドに上がった瞬間に声を上げる。
久しぶりに連続で1500メートルを泳いだよ。
そう思いながら2人に目を向ければ、先生は優しい笑顔で何度も何度も頷いていた。
きっと私が伝えたい事が分かったのだろう。
泣きそうになりながらも笑う先生に胸が熱くなる。
私も先生に大きく頷いた。
“私はもう大丈夫”そう伝える様に。
次に高岡くんに目を向ける。
その瞬間、私は目を見開いてしまった。
それもそうだろう。
彼の瞳には涙が溜まっていたから。
口元を手で覆いながら必死に堪えているからか、体が小刻みに震えていた。
それでも堪え切れずに『っ……』と声が漏れていた。
その涙が物語っていた。
彼にも私の想いが伝わったのだと。
全ては伝えきれていないかもしれないが、私が本当に伝えたい事はきっと伝わった。
「高瀬……俺……」
震える声がプールへと静かに消えていく。
でも、私も先生も1音たりとも聞き逃す事なく彼の気持ちを受け止める様に耳を傾けた。
「負けた事が悔しくて、何も考えられなくなって。
お前にも八つ当たりしたし、学校からも部活からも逃げ出した」
「……」
「……」
私と先生は黙ったまま高岡くんの話を聞いた。
彼は正に今、壁を乗り越えようとしている。
それを邪魔する訳にはいかないもの。
「水泳から離れる事だけが悔しさを忘れさせてくれる唯一の方法だと思った。
でも、いくら考えない様にしたってあの時の事が頭から離れない。
初めて味わった“敗北”が俺にとっては恐怖でしかなかった」
涙がかった声が私の涙腺をくすぶる。
だけど泣く訳にはいかなかった。
彼が本当の意味で水泳と向き合った時に、笑顔で迎えたいから。
その一心で涙を堪える。
その間も、高岡くんは闘い続けていた。
「でも高瀬だって同じはずなのに、何でアイツは前を向いていられるんだって不思議で仕方がなかった。
だけど分かったよ、俺とお前の決定的な違いが」
そう言って彼は涙でいっぱいの顔を笑顔に変えたんだ。
泳ぎ切った私はプールサイドに上がった瞬間に声を上げる。
久しぶりに連続で1500メートルを泳いだよ。
そう思いながら2人に目を向ければ、先生は優しい笑顔で何度も何度も頷いていた。
きっと私が伝えたい事が分かったのだろう。
泣きそうになりながらも笑う先生に胸が熱くなる。
私も先生に大きく頷いた。
“私はもう大丈夫”そう伝える様に。
次に高岡くんに目を向ける。
その瞬間、私は目を見開いてしまった。
それもそうだろう。
彼の瞳には涙が溜まっていたから。
口元を手で覆いながら必死に堪えているからか、体が小刻みに震えていた。
それでも堪え切れずに『っ……』と声が漏れていた。
その涙が物語っていた。
彼にも私の想いが伝わったのだと。
全ては伝えきれていないかもしれないが、私が本当に伝えたい事はきっと伝わった。
「高瀬……俺……」
震える声がプールへと静かに消えていく。
でも、私も先生も1音たりとも聞き逃す事なく彼の気持ちを受け止める様に耳を傾けた。
「負けた事が悔しくて、何も考えられなくなって。
お前にも八つ当たりしたし、学校からも部活からも逃げ出した」
「……」
「……」
私と先生は黙ったまま高岡くんの話を聞いた。
彼は正に今、壁を乗り越えようとしている。
それを邪魔する訳にはいかないもの。
「水泳から離れる事だけが悔しさを忘れさせてくれる唯一の方法だと思った。
でも、いくら考えない様にしたってあの時の事が頭から離れない。
初めて味わった“敗北”が俺にとっては恐怖でしかなかった」
涙がかった声が私の涙腺をくすぶる。
だけど泣く訳にはいかなかった。
彼が本当の意味で水泳と向き合った時に、笑顔で迎えたいから。
その一心で涙を堪える。
その間も、高岡くんは闘い続けていた。
「でも高瀬だって同じはずなのに、何でアイツは前を向いていられるんだって不思議で仕方がなかった。
だけど分かったよ、俺とお前の決定的な違いが」
そう言って彼は涙でいっぱいの顔を笑顔に変えたんだ。