ターゲット
紗英はまだイライラしてるご様子。
私は数学の教科書を、取ると吉野さんを見た。
そして、時計を見るとあと3分。
………。
「ちょっと行ってくるね。」
「え、どこ…え?」
隣のクラスの3組に行き、友達に数学の教科書を借りると吉野さんの元に向かった。
「はい、これ…私のだけど…。」
偽善にもならないけど、如月さんを見て思った。
私も……、如月さんみたいになりたいって。
さすがに、なれはしないけど。
少しは近づきたい。
だけど、吉野さんは首を横に振る。
「…いらない、優しさなんて。
それに、私が持ってたら…勘違いされて捨てられるかもしれない。」
「大丈夫だよ。チャイム鳴るし今回は使って?」
「…………、」
焦りながらでも頷いた吉野さん。
チャイムが鳴り、急いで着席した。