感情方程式。

-奏太side-


「菊池麻璃、です。」

聞いた事があった名前だった。
確か……

「もしかして、ご両親が…」
「あぁ、…そうです」

ご両親の単語を出した途端、
少し暗い表情になった。
きっと、彼女の重荷になっているのであろう。
そして、昨日とは全く違って
凄く素直な子で俺自身驚いている。

「何でここに来てるの?」

唐突にこの質問をすると
やはり困った表情をした。
いじめられているわけでは
なさそうだけれどもな…

「理由はくだらないので、言う必要は無いかと。」
「いや、一応俺、教師だからさ〜」
「話したくないです。」
「だよね、ごめんね。」
「いえ…」

人は、どんな所でも
どんな性格でも、
どんな振る舞いを見せていても、
悩みを抱えていると思う。
ただ俺の生きていた中で感じて来たことだけれども、そんな気がする。

彼女のその中の1人なんだなと、1人の教師として、助けないといけないなと、
いろいろ思ってしまった。
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