オフィス・ラブ #3
「同級生って、大学の?」
「いや、高校なんです」
えええ、と場が沸く。
暑気払いという名の、高木さんの吊るしあげが始まっていた。
別に、ずっとつきあってたわけじゃないですよ、と手を振る高木さんは、お酒が顔に出やすいため、もう赤い。
それでも7年つきあったというから、学生時代からってことだ。
「きっかけとか、あったんですか?」
結婚て、どういうタイミングで決意するのか興味があって、そう訊いてみる。
すると、遠距離だったんだよね、という答えが返ってきて、ぎくっとした。
「2年前から、向こうが北海道で。今度戻ってくることになったんで、じゃあ一緒に住もうかと」
「一緒に住むなら、結婚しちゃおうかと」
堤さんが受けると、そのとおりです、とうなずく。
「遠距離って、どう?」
私も聞きたかったことを、他のメンバーが訊いてくれた。
うーん、と高木さんが宙を見つめる。
「まあ、長いつきあいだったし、連絡もマメに取りあってたし、なんだかんだ、けっこういい刺激でしたね」
「会えた時の嬉しさが倍増ってやつ?」
メンバーの冷やかしに、それです、と高木さんが照れる。
部内はほとんどが既婚者なので、バツイチの課長を除くと、独身は私くらいになってしまった。
あと、堤さんもか。