イジワルな君と私との恋愛事情

結side2

私はやっとのことで、教室に戻ってきた。

そんな私に雪間くんは、

「遅いぞ!お前は鈍ガメか?」

と、しつらつな言葉を投げかけてくる。

(そんな風に言うなら、自分で買いに行けばいいのに……。)

私はそう思ったが、

「はい、これ。雪間くんの昼ご飯。」

そう言って、雪間くんに渡す。

そして、雪間くんの財布も返そうとした時、その財布がないことに気がついた。

「え!?」

(…うっ…ウソ!?もしかして、どこかに落とした?)

私はパニックになる。

そんな様子を見た雪間くんが、怪訝そうな顔をして、察したのか、

「まさか、お前、財布、無くしたのか?」

そう言った。

雪間くんの怒りを買うだろうと思い、私が身構えていたその時、

「ほら。これ、雪の財布。」

そう言って、茶髪の髪の男の子が、雪間くんに財布を手渡した。

そして、

「雪、あんまり、結ちゃんをイジメるなよ。」

そう言ってくれた。

彼の名は、中臣彰吾【なかとみしょうご】くん。

雪間くんの中学時代からの親友だ。

中臣くんは、見た目は派手で、チャラく見えるが、根は真面目な人である。

こうやって、雪間くんにイジメられている私に助け舟を出してくれる、イイ人だ。

「ショウ、その財布、どこで拾ったんだ?」

雪間くんは、私をイジメるネタが欲しいのか、中臣くんに聞いている。

「いいや。通りがかりに、春名先輩に渡されて……。」

中臣くんが、そこまで言った時だった。

雪間くんが眉根を寄せると、不快感を露にして、

「何で、あいつが『俺の財布』持ってたんだ?」

そう厳しい口調で、聞いてきた。

なぜか、雪間くんは高ちゃんのことが嫌いらしい。

その理由は、私にもよくは分からないんだけど……。

「さあ。ただ、春名先輩が、『雪間に渡しておいてくれ』って言われて、渡されただけだよ?」

中臣くんは、それ以上は『分からない』といった顔でそう言った。










< 3 / 42 >

この作品をシェア

pagetop