浮気者上司!?に溺愛されてます
恭介への想いを止めることなど出来ないくせに、私は自暴自棄に陥る。
だってそうでもしないと、本当に狂ってしまいそうだと思った。


その時。


「……奏美っ!!」


玄関からドアを叩く音が聞こえて来て、私はビクッと身体を竦ませた。
ドンドン、という音が徐々に大きくなる。


「奏美、いるんだろ!? 開けろ、俺だ」


恭介っ……!?


あまりの驚きに、私は飛び起きるようにベッドに座り込んだ。


どうして? どうして恭介がここに来ちゃうの!?


涙でグショグショで、髪を振り乱した私は完全に鬼の形相で、こんな姿恭介に見られたくない。
だけど、私は知っている。
私がドアを開けなければ、恭介は蹴破ってでもドアを開けようとするだろう。


「奏美っ……!」

「あ、開ける。開けるから、ちょっと待ってっ……」


ベッドから飛び降りて廊下を通り過ぎて、そう声をかけながらドアを開けた。
その途端。


「……!?」


グイッと背を押されるようにして私の目の前に姿を現したのは、頬を膨らませて不機嫌な顔をした紫乃さんで……。


「し、紫乃さんっ……!?」

「奏美、とにかく説明する。コイツは、謝らせる為につれて来た。すぐ帰すから」


声が降って来て顔を上げると、紫乃さん以上に不機嫌で、烈火のごとく怒っている恭介が、後ろ手でドアを閉めた。
そして、ほら、と紫乃さんの肩を揺さぶるように、ちょっと乱暴に次の行動を促している。


「ちょ、恭介っ……」


事態ををのみ込む以前に、まず紫乃さんの手を捻じり上げているその手を緩めさせなきゃ。
そう思った時、紫乃さんが顔を上げて、掠れる声で呟いた。


「……ごめんなさい」

「え?」

「……嘘ついて、ごめんなさい」


――何ごと?
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