イケメン王子先輩と私。
【雫side】
翌日。いつも通り学校にいって本を読んでいると。
「雫ちゃーん、廊下で誰か待ってるよー」
クラスメイトにそういわれて廊下に出るとそこには、あの学校一モテている、昨日“王子”と呼ばれていた結城先輩が腕を組んでいた。その周りには沢山の女子が取り囲んでいる。結城先輩は私に気づき、こっちへ歩いてきた。……何で?私、何か結城先輩に変なことした?……いや、でも昨日が初めてのはずだし。……人違いかな?そう考えていると、目の前に結城先輩が立っていた。
「……お前が星空雫か?」
「え? ……そうですけど。何か用ですか?」
結城先輩は何をしにこの階にきたんだろう?3年生は3階、2年生は2階、そして1年生は1階に教室があり、4階に職員室などがある。たぶん『数学1』と書かれた教科書を持っているから、移動中にきたのだろうか?
「ふーん。じゃあまたな」
そういって結城先輩は女子達に囲まれながら階段を登っていった。……ていうか、話はそれだけ?それに『またな』って、またどこかで結城先輩と会うの?……よくわからない。すると教室の方から奏が私を呼んだ。
「ねぇねぇっ、今王子と何話してたの!? ていうか、いつの間に仲よくなったのよ!?」
「うーん、なんか『お前が星空雫か?』って聞かれて、『またな』っていって帰っていったけど。私、そもそも男に興味がないし」
「いいなー、王子と話せて! 今度できたら王子に私のこと紹介してよ♪」
「んー、できたらね。……またなっていってたからたぶんまた会うだろうし。そういえば委員会、何に入る?」
「私? 私は美化委員かな〜、他に誰か立候補者がいたら入らないけどね。雫は?」
「……図書委員。本が好きだし、楽そうだもの」
小、中学生時代も図書委員をしていた私は、とても本が好きになっていた。チャイムが鳴り、メイクが超濃い担任が教室に入ってきた。
「――はい、これから委員会と係決めをします。入りたい委員会、係に手を上げてください」