君の味に落とされて。
「あ、おかえり純菜!朝のはなによ、びっくりしたわ!で、玲於先輩と何話したの?」
教室に帰ったときにはすでに一時間目が終わったあとだった。
席に着くなり飛んできたのは唯。
「別になにも話してないよ?」
「ほんとにぃー?」
平静を装って答えるけど、脳内ではキスされたことがリピートされまくっている。
おお、落ち着いてあたし。
あれはきっと、先輩にとったら、挨拶みたいなものだよ!
うぅ、ファーストキス…。
はぁ、と溜め息をついたとき、どこからか視線を感じて教室を見渡すと、ある女子の集団があたしを睨んでいた。
「ゆ、唯、なんかあたし睨まれてる?」
「あー、そりゃ久々に朝登校した玲於先輩を連れさったんだもん。当然でしょ」
「朝登校?」
「そー、玲於先輩、普段は昼近くに登校してくるから」
「へぇ…ってなんでそんなに詳しいの」
「動く回覧板とはあたしのことよ!」
そんなカッコよく言われてもちょっとダサいと思うんだけど…。