君の味に落とされて。
「なんかこの展開読めたから近くにいてよかったわ」
カッコいいです唯様。ありがとう。
「あ、朝比奈さん!佐倉さんの言ってること本当なんだよね?付き合ってないんだよね?」
「当たり前でしょ。だいたい、純菜は玲於先輩の存在を今日知ったんだから」
ちょっと怒った風に言う唯の言葉に、聞いていた女子たちは目を見開いた。
「さ、佐倉さん…玲於先輩のこと今まで知らなかったなんて…」
「信じられない…あんなにカッコいい王子を…」
逆に引いた目で見られてしまった。
あはは…と乾いた声を漏らして、その場を抜け出した。
早くお弁当食べないと時間なくなっちゃうし、玲於先輩とはなにもないし!
「早く食べなよ、純菜」
「あ、うん」
確かにカッコいいけど、玲於先輩のことそれだけで見てるのかな。
だったら…なんかそれは、好きってことにならない気がする。
恋をしたことがないあたしが何を考えたって無駄だけど。
「放課後…なにするんだろ」
ぼそっと呟いて、プチトマトを口に運んだ。